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井戸崇史 革工芸

職人名
井戸崇史
屋号
READY OR ORDER
技能
革工芸
在住
東京都北区

皮革製品のなかでも、財布やカードケースなどの革小物を制作する革工芸職人。高校卒業後、鞄・財布などを扱うメーカーに勤務したのち、26歳で祖父、父と続いてきた革職人の三代目として修行を開始。2005年3月に自社ブランド「READY OR ORDER」を立ち上げる。

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「俺用財布」から「READY OR ORDER」に

もう10年以上前のこと。旅行先で、ふと知り合いの財布に目がとまった井戸さん。「使いやすそうだなあ!」。そう思ったから、自分専用にいちばん使いやすい財布、いちばん欲しい財布を作ってみようと思い立ったのだそうです。

小銭入れのしきりやマチ、ポケット、ホックなど細部にまでこだわって、あったら便利だと思えば取りつけ、不必要なものは取り払って、「これだ!」と思える財布をつくりました。それが井戸崇史オリジナルの第1号。そして、のちに立ち上げるブランド「READY OR ORDER」の原点となりました。

江戸の粋と洒落と、それに遊び心

東京で革工芸職人の三代目として生まれ、ミシンの音を聞きながら大きくなった井戸さん。皮革製品メーカーに8年間勤務したあと、DNAに導かれるようにして入った世界。革の風合いやクセを感じ取り、その特徴をいかす技術は業界でもピカイチです。「門前の小僧」みたいなもので、と笑う井戸さんの強みは、それだけではありません。デザイン画から型紙がおこせてデザインを完璧に再現する縫製技術を持っていること。職人としての情熱。そして遊び心。

「READY OR ORDER」にはスタンダードモデルのほかに、お尻のポケットにもすんなり入るよう、サイズをちょっとだけ小さくしたものや、長財布もあります。最近のヒットは「YO-ASOBI」と名づけられたコンパクトな財布。入れるのは、お札とカードが数枚、それにコイン。

「ほら、仕事が終わって飲みに行くのに最適でしょ。だから『夜遊び財布』ですよ。でも、意外と冠婚葬祭のときにも便利なんです。そういうときって、男は鞄が持てないし、女性は小さなバッグしか持たないじゃないですか」。
なるほど。アイディアの卵が、井戸さんのまわりにはたくさん転がっているようです。

ひと手間の「ミシン」が職人の心意気

毎日持ち歩くもの。何度となく鞄やポケットから出し入れして、頻繁に開けたり閉めたりするもの。使いやすくなければ持っていたくない。丈夫じゃないと持っていられない。財布は、そういう持ち物です。

「READY OR ORDER」のスタンダードタイプでまず目につくのが、外側の段ポケットです。定期やカードなど、よく出し入れするものの所定の位置。なかなか便利そうです。小銭入れのマチはアコーディオン式で、パカッ! と思い切りよく開きます。内側に丈夫なレザーを使用しているので耐久性も申し分なし。札入れ部分には小さな隠しポケットがあって、カードや領収証が入れられます。そして2箇所のホック。外側ホックについているベロのおかげで、小銭がたくさん入っても財布がいびつになりません。ベロの縫製は2重になっています。
「ミシンのひと手間が使いやすさと、丈夫さにつながります。だから決してらくに作ろうとは思わない。見えないところこそ丁寧に仕上げる。それが職人の魂だから」と、井戸さん。

小銭入れの内側にあるミシンの形の刻印はその証。そしてカードホルダー部分には「MADE IN TOKYO」。JAPANではなくて、東京メイドというのも、井戸さんの心意気です。

持つ喜び、使う喜び

「パターンオーダー」できるのも「READY OR ORDER」の魅力。たとえば、同じ牛革でも経年によって、加工や磨き方によって、肌触りや風合いはいろいろ。色はかぞえきれないほど豊富。ステッチ糸の色も含めると、組み合わせはそれこそ無限大。そこから、いちばん好きな組み合わせを選ぶことができます。

「服も下着も、たいてい毎日着替える。靴だって服に合わせて履き替える。でも、財布はたいてい毎日同じものでしょ。だから……」
だから誰かにちらっと見られたときに「えっ」って、少しだけビックリしてもらえるような財布を持っていたい。ディテールのひとつひとつが美しく、縫い目の1本1本までこだわりぬいた、魂のこもった財布。持っていること、使っていることに喜びを感じる、大人の小物です。

作品例
  • 革トレイ
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