花切子ってなに? 午前7時。工房の明かりが灯ります。いつも同じ時刻に、夫婦並んで仕事を始めるのが目黒硝子技術工芸社の流儀。工房にガラスを削る音が響きます。ここで作られているのは、江戸切子のなかでも「花切子」と呼ばれる独得の技法を駆使した切子です。 工房の主、目黒祐樹さんは、目黒硝子美術工芸社の二代目。自宅の1階に工房があったので、子どものころから先代の仕事を間近で眺めながら育ちました。大人になったら「自分も花切子をやる」。自然にそう思い、高校卒業と同時に父を師と仰いでこの道に入りました。当初は外に修行に出ることも考えていたのですが、江戸切子の職人がその作品の一部に花切子の技法を取り入れることは・・・ 続きを読む!
「俺用財布」から「READY OR ORDER」に もう10年以上前のこと。旅行先で、ふと知り合いの財布に目がとまった井戸さん。「使いやすそうだなあ!」。そう思ったから、自分専用にいちばん使いやすい財布、いちばん欲しい財布を作ってみようと思い立ったのだそうです。 小銭入れのしきりやマチ、ポケット、ホックなど細部にまでこだわって、あったら便利だと思えば取りつけ、不必要なものは取り払って、「これだ!」と思える財布をつくりました。それが井戸崇史オリジナルの第1号。そして、のちに立ち上げるブランド「READY OR ORDER」の原点となりました。 江戸の粋と洒落と、それに遊び心 東京で革工芸職人の三・・・ 続きを読む!
生きている人のためのお守りです。 数珠(じゅず)とは穴を開けた珠に糸束を通して輪にしたもので、その起源は古代インドにあるとされ、バラモン教で用いられたものが原型となっているというのが通説。それが仏教に取り入れられ、中国を経由して、飛鳥時代に仏教伝来とともに日本に伝わったとされています。梵名は「アクシャ・マーラー」。「アクシャ」とはものをまっすぐに貫くという意味で、「マーラー」というのはものを糸でつないで連ねたものを意味するとか。宗派によって長さや形が微妙に違い、使い方も首にかけたり、手にかけて音を立ててもんだり、珠(たま)を爪繰ったりといろいろです。 ということで、当然といえば当然なのですが、・・・ 続きを読む!
光に魅了されたびいどろ屋から 江戸時代、西洋の華麗なカット硝子に魅了された職人がいました。その名を加賀屋久兵衛といい、江戸大伝馬町で金剛砂を用いてガラスを彫刻しはじめました。江戸切子のはじまりです。薩摩藩主・島津斉彬に保護されて発展した薩摩切子とは対照的。江戸切子は庶民の手で守られてきた伝統工芸です。むろん、いまは金剛砂で加工などしていません。明治時代にヨーロッパのカット技法が伝えられて、グラインダーでカッティングしています。 黒川昭男さんは、その江戸切子を代表する作家。中学卒業と同時に集団就職で、名人といわれた小林菊一郎に弟子入り。菊一郎亡きあとは、子息・英夫を師と仰ぎました。 「なにもわか・・・ 続きを読む!
江戸時代の厨にもあったおろし金 日本料理には「すりおろす」という調理法が頻繁に出てきます。おろす道具にもさまざまあれど、どうせ持つならぜひこれ! 料理の腕前が格上げされる手打ちの銅のおろし金です。 銅のおろし金の歴史は古く、正徳2年(1712年)刊行の『和漢三才図絵』(当時の百科事典のような書物)の「庖厨具の部」には「わさびおろしは銅をもってつくる。形は小さなちり取りのようで、爪刺(目のこと)が起こしてある。山葵、生姜、甘藷などをする。裏の爪刺は粗く、大根をする」という説明があり、現在のおろし金そっくりの絵も添えられています。 歴史が古いからこそでしょうか。おろし金の形状は関東と関西とではちょ・・・ 続きを読む!