幻といわれた技法
ガラスの粉末を型に入れて溶融し、成形するガラス技法があります。
金属の鋳造技術を応用したもので、古代メソポタミア文明のころから伝えられる古い製法。当時は彫ってくぼみを作った石や焼成した粘土の型に、珪砂(石英砂)や水晶を詰め、窯に入れて溶融する工程を繰り返して作ったそうです。着色のためには微量の金属鉱石を粉にして混ぜ込んで鋳型に入れていました。
盃や碗や皿だけでなく、装飾品も作られていたのですが、作り方が複雑だったばかりでなく、ガラスを取り出すために毎度、鋳型から作りなおさなくてはならないというメンドクサイ手法だったため、より大型で大量に生産することができる吹きガラス技法が発明・・・
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時計技師や時計職人が発明
小さな箱から流れ出るメロディにハッとし、シリンダーが一回転するわずか数秒の間になつかしい情景が浮かんでは消え、繰り返されるメロディにドラマが繰り広げられていく。心はときを刻むのを忘れ、そしてときに涙することも……橋本勇夫さんのオルゴールにはそんな発見があります。
「オルゴール」というロマンチックな名まえの由来は、オランダ語やドイツ語でオルガンを意味する「orgel」(オランダ語のオルヘル、ドイツ語のオルゲル)だそうです。オルゴールには、円筒型をした金属(ドラム)にピンを取りつけた「シリンダー・オルゴール」と、円盤状のものに穴をあけた「ディスク・オルゴール」とがあります・・・
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江戸時代の厨にもあったおろし金
日本料理には「すりおろす」という調理法が頻繁に出てきます。おろす道具にもさまざまあれど、どうせ持つならぜひこれ! 料理の腕前が格上げされる手打ちの銅のおろし金です。
銅のおろし金の歴史は古く、正徳2年(1712年)刊行の『和漢三才図絵』(当時の百科事典のような書物)の「庖厨具の部」には「わさびおろしは銅をもってつくる。形は小さなちり取りのようで、爪刺(目のこと)が起こしてある。山葵、生姜、甘藷などをする。裏の爪刺は粗く、大根をする」という説明があり、現在のおろし金そっくりの絵も添えられています。
歴史が古いからこそでしょうか。おろし金の形状は関東と関西とではちょ・・・
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美しさ、そして強さ。漆の魅力を伝える匠
漆はつややかな塗料でもあり、堅牢な接着剤でもあります。漆はアルコールにも、酸にも、アルカリにも溶けません。金を溶かす玉水でさえ漆を溶かすことはできません。しかも漆には抗菌作用があり、ことに木を腐らせる腐朽菌に強いため、古くから木製の椀や酒器などのコーティング材として重宝されてきました。縄文時代にはすでに赤漆を塗った容器が使われていたという記録も残っています。
ここに、その漆の魅力を追求し続ける匠がいます。角光男さん──その作品には力強さがあり、そしてなによりも楽しさがあります。その両方が、しっかり手のひらに伝わってくる。たまらない魅力です。
材料は惜しま・・・
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生きている人のためのお守りです。
数珠(じゅず)とは穴を開けた珠に糸束を通して輪にしたもので、その起源は古代インドにあるとされ、バラモン教で用いられたものが原型となっているというのが通説。それが仏教に取り入れられ、中国を経由して、飛鳥時代に仏教伝来とともに日本に伝わったとされています。梵名は「アクシャ・マーラー」。「アクシャ」とはものをまっすぐに貫くという意味で、「マーラー」というのはものを糸でつないで連ねたものを意味するとか。宗派によって長さや形が微妙に違い、使い方も首にかけたり、手にかけて音を立ててもんだり、珠(たま)を爪繰ったりといろいろです。
ということで、当然といえば当然なのですが、・・・
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