江戸時代の厨にもあったおろし金 日本料理には「すりおろす」という調理法が頻繁に出てきます。おろす道具にもさまざまあれど、どうせ持つならぜひこれ! 料理の腕前が格上げされる手打ちの銅のおろし金です。 銅のおろし金の歴史は古く、正徳2年(1712年)刊行の『和漢三才図絵』(当時の百科事典のような書物)の「庖厨具の部」には「わさびおろしは銅をもってつくる。形は小さなちり取りのようで、爪刺(目のこと)が起こしてある。山葵、生姜、甘藷などをする。裏の爪刺は粗く、大根をする」という説明があり、現在のおろし金そっくりの絵も添えられています。 歴史が古いからこそでしょうか。おろし金の形状は関東と関西とではちょ・・・ 続きを読む!
裂き織りは究極のリサイクル 大きく取られた窓の向こうには、晴れれば抜けるような青空が広がり、お天気が崩れると重なる雲が望める。風が吹けば裏の竹林がざわざわと鳴る。都会に残された自然のなかに、機織りの音が響きます。 工房の名前は「樹絲布(きしの)」。 「樹」という字にはまっすぐに伸びる、という意味もあります。「絲」には繊細、という意味もあるのだそうです。どちらも、自然が、糸が、布が大好きな小野博子さんが気に入っている漢字です。 裂き織りというのは、東北地方を中心に伝わる織りもの。使い古した綿布を細く糸状に裂き、それを緯(よこ)糸にして織ります。昔、寒冷な土地ではなかなか綿が育たなかったため、綿布・・・ 続きを読む!
日本生まれの画期的な筆記具 万年筆を愛用している人さえ減ってしまった世の中、ガラスペンを使ったことがないという人は多いのではないでしょうか。でも、昭和30年代までは官公庁をはじめ、会社や事務所で書類筆記用、簿記用として広く使われていたポピュラーな筆記具だったのです。その後ボールペンが普及し、正式書類用として採用されるようになってからは、その簡便さに押され気味となり、需要も供給も減ってしまいました。いまでは、ガラスペンを作る職人さんも数えるほどです。 ガラスペンは日本生まれの筆記具です。1902年(明治35年)、風鈴職人だった佐々木定次郎が考案したガラス製のつけペンです。特徴はまず、そのペン先に・・・ 続きを読む!
江戸の粋、京の雅 昔話「舌切り雀」にも登場する葛籠(つづら)。葛籠とは、簡単にいえば竹で編んだ蓋つきの籠。通気性に富み、表面に塗る漆や柿渋に抗菌・防虫・防腐作用があるため、大切な衣類や紙製品を保存するのに最適であるとされてきました。形や大きさはさまざまで、用途に合わせて製作されることも少なくありません。ものを収納する道具として、箪笥よりも古くから使われてきた生活道具のひとつです。 京都東山区。東大通と五条通が交差するあたりに渡辺商店はあります。その作業場で葛籠を作り続ける三代目、良和さんの名刺には、その取り扱いの品について「衣裳・呉服・茶道具用・相撲明荷・文楽・歌舞伎・其ノ他張籠一式」と書かれ・・・ 続きを読む!
江戸の町人文化が育てた友禅 友禅というのは、貞享年間(1684〜1687)に扇絵師・宮崎友禅斎が始めた布に模様を染める技法のひとつ。京の都から伝わったこの技法が江戸で広まったのは文化文政のころといわれています。時代は町人文化の爛熟期。しかし、幕府の通達により、町人の生活は食べるものから着るものまで、じつに細かく規制されていました。江戸っ子たちは手の込んだ友禅染めを駆使しつつ、表は地味に、そのかわり裏地に金銀をあしらうなどして、洒落っ気を発揮。こうして雅できらびやかな京友禅とは趣の違う、江戸友禅が生まれました。色数は抑えめで一見渋め。でも、だからこそ、落ち着いた色味と粋な柄ゆきは、時代を超え、世・・・ 続きを読む!